Prologはサーバーに徹する

2ヶ月、空白があった。理由は、戦略的な行き詰まりがあったからだ。煮詰まったと言ってもいい。原因は、Prologで全てをやろうとしたからだった。Prologは、開発効率がひどく悪い言語だと言うことを思い知った。その理由は、頭に描いたアルゴリズムのうち、JavaとかC++では簡単にやれることが、Prologは、超難しくなることだ。もちろん、一方で、Prologで非常にうまいこと処理できるものがある。個々を区別せず、やたらPrologでやろうとした。時間の浪費に消耗してしまった。

空白を置くことによって、冷静になれたと思う。空白期間中は、かつて熱心にやっていた電子書籍の作成システムを、汎用に作り直していた。(興味があれば、ネット書房のサイトをみてください)

話を元に戻すと、そういうわけで、今後はPrologは、言語的知識を表現することに徹する。それを取り出す上では、Prologでサーバーまでは組み立てる。与えられた要素を持った知識を取り出すサーバーをPrologで組み立てる。クライアントは、JavaでもC++でもなんでもいいだろう。プロトコルさえ決めておけば。

絶対アドレスと節の位置との相互変換

二分木の中のノードやリーフの位置は、lとrの系列で示している。が、語と語の距離をそのアドレスから計算するのがとてもややこしいプログラムになっていた。そこで、アドレスと語の位置を相互に交換できるようにした。

ベースにしたのは、次のような、二分木を平板に出力するプログラムだ。記録のために書いておく

print_top :-
    data(Tree),
    set_flag(location,0),
    print(Tree,[]).

print(Tree,Address):-
    atom(Tree),
    get_flag(location,No),
    format('~w(~w:~w), ',[Tree,No,Address]),
    asserta(address(Address,No)),
    No1 is No + 1,
    set_flag(location,No1).

print(Tree,Address):-
    node(N,L,R)=Tree,
    append(Address,[l],Address_l),
    append(Address,[r],Address_r),
    print(L,Address_l),print(N,Address),print(R,Address_r).

data(
node(h,
    node(d,
        node(b,
            a,
            c
        ),
        node(f,
            e,
            g
        )
    ),
    node(l,
        node(j,
            i,
            k
        ),
        node(n,
            m,
            o
        )
    )
)
).

実行すると次のようになる。

?- print_top.
a(0:[l,l,l]), b(1:[l,l]), c(2:[l,l,r]), d(3:[l]), e(4:[l,r,l]), f(5:[l,r]), g(6:[l,r,r]), h(7:[]), i(8:[r,l,l]), j(9:[r,l]), k(10:[r,l,r]), l(11:[r]), m(12:[r,r,l]), n(13:[r,r]), o(14:[r,r,r]), 
true .

assertaでprologの説も構成している。

prolog二分木知識によるシステム相互の応答

没頭していたというよりも、どうするか苦悶していたので前回書いた時から三週間近く経過してしまった。苦闘の理由は、システムを発展性のあるものにすることだった。

ようやく、基礎的なところで納得できるものになったので、何か書いておくことにした。自然言語解釈のところとprologによるsocket相互通信のシステム構築に手間かけた。

自然言語処理のところでは、大きなところは、質問文の解釈の基礎的なところをどのようにするか、設計上の問題に直面した。色々な知識はprolog二分木で表現されていて、その二分木がどのような構造になっているかを踏まえなければならない。二分木は、ノード値と二つのリーフ値の重層的連結になっている。ここに構文情報がはめ込まれてもいる。

ノード値は助詞を中心に付随する修飾語から成り立っていて、動詞や名詞はそこには全く入ってこない。したがって、色々な意味で有限である。限られている。質問文かどうかは、このノード値を解析すればわかる。主語的なものは、格助詞の「は」などがノード値にあれば、その左のリーフか、ないしは、左側のツリーのいずれかのリーフに主語があるはず。

ノード値からの距離が重要で、例えば、格助詞の場合は左側で一番近いところにある名詞が、その主要候補となるだろう。また、距離に、状況によって左の葉を優先するか、右の葉を優先するかの設定もする。この距離は、ノードやリーフの絶対アドレスから算出する。

一つの文章の二分木ツリーから、ノード値、名詞、動詞、修飾語、およびその絶対アドレスの全てを、それぞれリストにして、最初に一挙に取得してしまうという方法も取り入れた。これは別な形で二分木を分解してしまう方法でもある。こうすると、文章のほとんどがそのリスト軍の中に写像される。

こうすると文章の意味取得が容易になる。質問に対して、このリストを使って返信が可能になる。

通信については、javaを経由すればソケット通信は楽になるが、あくまで、prolog動詞て対話の通信ができるようにした。c++やjavaの時と同様に、ソケットとそのストリームを作成して、あとは自由に相互にやり取りをするというソケット通信の本来の形を実現するのに苦労した。ソケットを作って、一個の文章のやり取りをすることはすぐにできるが、ソケットを二つのシステムの対話の間じゅう維持するのが難しかったのだ。しかし、それもできた。

これから、自由な問いかけに、自らの知識(prolog二分木)に基づいて、自由に返答できるシステムにしていこう。形としては、あの巨大なwikipediaの知識を利用できる形にしてあるのだから。

アドレスという考え方: prolog二分木

自然言語のprolog二分木の中をもっと自由に移動する方法がないかと考えてきたが、アドレスを入れることにした。

二分木はルートを持っている。このルートが原点となる。linuxなどのディレクトリ構造のルートと同じである。ただ、二分木であるから、分岐は全てバイナリである。

そこで、ルートから出発して、左の葉をたどる時には'l'(エル)を加え、右をたどる時には'r'を加えたprologリストを作成することによって、唯一のアドレスを与えることができる。

仮想的な二分木を考える。

node(a,
    node(b,
        node(c,
            d,
            e
        ),
        node(f,
            g,
            h
        )
    ),
    node(i,
        node(j,
            k,
            l
        ),
        node(m,
            n,
            o
        )
    )
)

ルートの値は、aである。左右対称のツリーになっている。これに対し、アドレス[l,r,l]は、値gとなる。あるいは、[l,r]にあるのはサブツリーで、node(f, g, h)である。同じく、[r,l]にあるのは、node(j, k, l)となる。

このように、そのアドレスの部分ツリーを取ってくるプログラムは次のようになる。

%% 現在位置(ツリーアドレス)からの部分ツリーを返す
getsubtree(Tree,[],Tree).  %% 位置が空だったら、そのものを返す
getsubtree([],_,[]).
getsubtree(node(_,L,R),[H|T],Out) :- 
        (T=[] -> 
            (H=l -> Out=L; Out=R)
        ;   (H=l -> getsubtree(L,T,Out)
            ;getsubtree(R,T,Out),
            true)
        ).

名詞の主語としての重要性ウェイト:prolog二分木

二分木には、juman++による形態素解析の結果が組み込まれている。主語を捉える上で、可能性として色々ある場合、扱う順位、ウェイトのようなものが欲しい。たとえば、「アトムと言われているものはなんですか」というのを、二分木にすると、

%% line = アトムと言われているものはなんですか
%% phrases: [ 0 1 2 r3 ] 
testdoc(testline_0_0,
    node(ですか,
        node(は,
            node([],
                node(と,
                    [アトム, 'S:普/C:自然物/D:科学・技術'],
                    [[[言わ, 'V:言う'], れて], いる]
                ),
                [もの, 'S:形']
            ),
            [なん, 'S:数/C:数量']
        ),
        [ ]
    )
).

となる。図で描くと、

となる。「は」という格助詞の前に、名詞は三つある。「なん」が数詞になっているのが少しおかしい(juman++の仕様)だが、他に、「アトム」と「もの」もある。「なんですか」というのも、「ものはなんですか」も日本語としては単独で成立する。しかし、ここでは主語は「アトム」であるべきだ。

となると、名詞の主語になる優先順位というのが必要になるだろう。名詞の種類は、juman++では、次のようになっている(http://www.unixuser.org/~euske/doc/postag/)。

普通名詞 (例)「つくね焼」「鞭打ち症」「パイ中間子」サ変名詞以外のもの。
副詞的名詞 (例)「ところ」「ため」「ぐらい」「~したところ」「~するため」
形式名詞 (例)「の」「こと」「もの」「つもり」「わけ」	
固有名詞 (例)「エスキモー」「広辞苑」「平成」以下の 3カテゴリにあてはまらない固有名詞。
組織名 (例)「NATO」「そごう」「運輸省」	
地名 (例)「東京」
人名 (例)「田中」
サ変名詞 (例)「説明」「あんよ」「埋め合わせ」「発想」「~する」の形をとれるもの。
数詞 (例)「ゼロ」「億」 数値。
時相名詞 (例)「あした」「ほどんど」「それぞれ」

順位をつけると、(1)人名(2)組織名(3)地名(4)固有名詞(5)普通名詞(6)サ変名詞(7)形式名詞(8)数詞(9)時相名詞(10)副詞的名詞、となるのではないか。この優先順位で、文章の主語をとらえることにしよう。

自然言語二分木を平文に変換するprologプログラム

書き忘れていたが、この間、以前も使っていた二分木を平文にするプログラムを少し改良している。AIサーバー、AIクライアントで使っているので掲載しておく。

%%
%% prologツリーをベタな文章に変換して表示する
%% 全て、変数に出力されるように改訂
%%

wsprint(Sent,Out) :- 
    nb_setval(console,''),
    printnode(Sent),
    nb_getval(console,Out).
    %% write(Out),nl.

%% グローバル変数 console に出力をつなげていく
wsappend(S) :-
    nb_getval(console,Tmp),
    atom_concat(Tmp,S,Out),
    nb_setval(console,Out).

%% -----------------------
%%% 出力のclauses
%% -----------------------
% 対象がatomならば、そのまま表示
printnode(N) :- atom(N),wsappend(N).
%% 対象が空でないリストならば、最初の項の表示
printnode(N) :- [_|_] = N,showlist(N). 
%% 対象が空リストならば'/'(半角スラッシュの表示)
%% printnode(N) :- [] = N,wsappend('/'). %% 空リストでもtrueにする
%% スラッシュやめる
printnode([]).
%% 対象が項ならば、元の言葉の順序で表示(語がnodeならば再帰的に表示する
%% ただし、node語がnodeは含まない)
printnode(N) :- node(X,Y,Z) = N,
        printnode(Y),
        printnode(X),
        printnode(Z).

%% -----------------------
%% getlistは、リストが[語, カテゴリ]から構成されているのから、語だけのリストを作る
%% 一つのフレーズに複数の語があると
%% [[[語, カテゴリ],語],[語, カテゴリ]] などのように繋がってリスト化される
%% knpがカテゴリを出力しない場合は、語が単独になることもある
%% HeadとTailをから、それぞれの語を取り出して、結合したのを出力
%% -----------------------
getlist([H|[T]],[X1, X2]) :- getlist(H,X1),
        getlist(T,X2),!.
%% 構造的に、Tailには、単位リストしか入っていない
getlist([H|[T]],[H,H1]) :- atom(H),[H1|_] = T,!.
%% tailがリストでない場合は、atomであるHeadのチェック
getlist([H|[_]],H) :- atom(H).
%% tailが構造化されたリストの場合にはここで処理する
getlist([H|[T]],[Z,T]) :- atom(T),
        getlist(H,Z).

%% -----------------------
%% ベタなリストに変換するのがprintlist
%% swi-prologにflattenという組み込み関数がある
%% -----------------------
printlist(L) :- atom(L),
        wsappend(L).
%% ベタなリスト化は、以下のclauseで単純に作れる
printlist(L) :- [H|[T]] = L,
        printlist(H),
        printlist(T),!.

%% -----------------------
%%  getlistとprintlistを繋げるのがshowlist
%% -----------------------
showlist(L) :- getlist(L,X),
        printlist(X).

実行例を示しておく。prolog二分木化したwikipediaからとってきているかなり複雑な二分木がだ、綺麗に日本語の平文に直している。

?- ['../lib/wsprint.swi'].                                                                              true.

?- wsprint(node(は,[['デビュー', 'S:サ/C:抽象物/D:メディア'], 前],node(で,[[紫苑, 'S:普/C:植物'], [名義, 'S:普/C:抽象物']],node(と,[[杏樹, 'S:人'], [紫苑, 'S:普/C:植物']],node([],[いう, 'V:いう'],node(で,[コ ンビ, 'S:普/C:組織・団体'],node(の,[[耽美, 'S:普/C:抽象物'], [系, 'S:普/C:抽象物']],node([],[漫画, 'S:普/C:人工物-その他;抽象物/D:文化・芸術'],node(を,node(の,[],[パロディ, 'S:普']),node([],[[描いて, 'V:描く'], おり],node([],[[要, 'S:普/C:人工物-その他;抽象物'], [出典, 'S:普/C:抽象物/D:文化・芸術']],node(の,[[ 江口, 'S:人'], [寿史, 'S:人']],node([],[単行本, 'S:普/C:人工物-その他;抽象物/D:文化・芸術'],node(の,[[江口, 'S:地'], [寿史, 'S:人']],node(で,なんとかなる,node([],[ショ, 'S:サ'],node(の,[[江口, 'S:地'], [寿史, 'S:人']],node(に,[[[爆発, 'S:サ/C:抽象物'], ['ディナー', 'S:普/C:人工物-食べ物/D:料理・食事']], ['ショ ー', 'S:普/C:抽象物/D:文化・芸術']],node([],[[[[収録, 'S:サ/C:抽象物/D:文化・芸術;メディア'], [さ, 'V:する']], れて], いる],[ ])))))))))))))))))),Out).

Out = デビュー前は紫苑名義で杏樹紫苑というコンビで耽美系の漫画のパロディを描いており要出典江口寿史の単行本江口寿史のなんとかなるでショ江口寿史の爆発ディナーショーに収録されている .


AIサーバーとAIクライアント:prolog二分木

先の記事では、クライアント側がjavaだったが、クライアント側もprologにした。クライアントプログラムは、先の平文を二分木にするクライアントを少し変えたものだ。

%
% prologのテレパシーサーバーに質問し、回答を得るクライアント
%

% 文字列とutf8のバイトコードを相互に変換する
% http://www.ibot.co.jp/wpibot/?p=2681 など参照
:- ['../lib/utf8string.swi'].

% swi-prologモジュールの組み込み
:- use_module(library(streampool)).

% クライアントをスタートさせて、ストリームを取得、グローバル変数に保存する
telepathy_client(Host, Port) :-
        setup_call_catcher_cleanup(tcp_socket(Socket),
            tcp_connect(Socket, Host:Port),
            exception(_),
            tcp_close_socket(Socket)),
        setup_call_cleanup(tcp_open_socket(Socket, In, Out),
            nb_setval(socketIn,In),
            nb_setval(socketOut,Out)).

telepathy_to_server(Term,Reply) :-
        % 送信文字列をコードに変換する
        utf8tring(Bytes,Term),
        nb_getval(socketIn,In),
        nb_getval(socketOut,Out),
        % コマンをつけて、サーバーに送信
        % format(Out, '~w:~s~n', [Com,Bytes]),
        % 当面コマンドをつけない
        format(Out, '~s~n', [Bytes]),
        flush_output(Out),
        %read(In, ReplyCode), % これではうまくいかない
        % サーバーからコードを受信する
        read_line_to_codes(In, ReplyCode),
        % write(ReplyCode),nl,
        % コードを文字列に変換
        utf8tring(ReplyCode,Reply).
        % 表示する
        %format('Reply: ~s~n', [Reply]).

% ストリームを閉じる
telepathy_close :-
        nb_getval(socketIn,In),
        nb_getval(socketOut,Out),
        close(In, [force(true)]),
        close(Out, [force(true)]).

サーバー側は、前の記事と同じで変更ない。実行結果は以下のようである。

まず、クライアント側。

?- ['telepathy_client.swi'].
true.

?- telepathy_client(localhost,30000).
true.

?- telepathy_to_server(アトムとはなんですか,Reply).
Reply = アトムはロボットです.

続いて、サーバー側。

?- ['telepathy_server.swi'].
true.

?- server(30000).
Receive = > アトムとはなんですか 
Send = > アトムはロボットです

これからは、知識が多い場合の処理はもう少し後にして、単純な知識が様々に利用される状況を想定してみる。

知識サーバー(プロトタイプ): prolog二分木

AI同士の対話が当面のターゲットなのだが、そのサーバー部分の作成とテストを実行した。相変わらず知識は「アトムはロボットです」しか持っていない。

まず、ネットワーク上で質問を受け取って、自らの持つ知識でそれに返答するというprologを示すと次のようになる。すでに示している reply.swi を組み込む。私は、ロボット同士のTCP-IPの通信システムは、基本、Telepathyという名前をつけている。

%%%%
%% telepathy_server.swi
%% prologサーバー
%% 参照:
%% http://www.swi-prolog.org/pldoc/man?section=stream-pools
%% utf8string.swiを使用する
%% 記事 http://www.ibot.co.jp/wpibot/?p=2681
%%%%

:- ['reply.swi'].

%% home brewでインストールしたswi-prologでは、次のライブラリが読めない可能性がある
%% その場合は、ソースからコンパイルし直し、最新バージョンを入れる
:- use_module(library(streampool)).

server(Port) :-
    %% tcpソケットの作成
    tcp_socket(Socket),
    %% ソケットをアドレスにつなげる 第二引数は、portのみか、HostPort
    tcp_bind(Socket, Port),
    %% ソケットからリクエストを受け取る、第二引数は、ペンディングリクエストの上限
    tcp_listen(Socket, 5),
    %% ソケットとコミュニケーションのためのストリームを作成する
    tcp_open_socket(Socket, In, _Out),
    %% Inが利用可能になったら、accept(Socket)が呼び出される
    add_stream_to_pool(In, accept(Socket)), 
    %% loopが空になるまでdispatch_stream_poolが呼び出される
    %% dispatch_stream_poolは入力があるとadd_stream_to_poolのGoalを呼び出す
    stream_pool_main_loop.

accept(Socket) :-
    %% ソケットからのクライアントからのリクエストを待つ
    tcp_accept(Socket, Slave, Peer),
    tcp_open_socket(Slave, In, Out), 
    add_stream_to_pool(In, client(In, Out, Peer)).

client(In, Out, _Peer) :-
    %% 入力ストリームから次の行を読み出す 結果はCommandにユニファイされる
    %% 改行までか、ファイルの終わりまで読み込まれる 改行コードは削除される
    %% 改行を含むブロックを読み込むときは read_line_to_codes/3 を使う
    read_line_to_codes(In, Codes),
    %% 入力ストリームを閉じる
    close(In),
    %% バイトシーケンスを文字列に変換する
    utf8tring(Codes,Request),
    %% コンソール出力
    format('Receive = > ~s ~n',[Request]),
    %% 回答を取得
    wsreply(Request,Reply),
    %% 回答を送信
    utf8tring(ReplyCodes,Reply),
    %% write(Out,ReplyCodes),nl(Out),
    %% write(Out,Reply),nl(Out),
    format(Out, '~s~n', [ReplyCodes]),
    format('Send = > ~s~n',[Reply]),
    flush_output(Out),
    %% 出力ストリームを閉じる
    close(Out),
    %%write('Close socket stream ...'),
    %% プールからストリームを削除する
    delete_stream_from_pool(In).        
	

このサーバー、立ち上げるとターミナルをブロックして、他のプロセスを実行させる余地がない感じになるが、prologは、簡単に実行をスレッド化できるので、大きな問題ではない。

クライアントは、ここではjavaで書いた簡単なものを使う(次の段階でこちらもprologにする)。

import java.io.BufferedReader;
import java.io.BufferedWriter;
import java.io.IOException;
import java.io.InputStream;
import java.io.InputStreamReader;
import java.io.OutputStream;
import java.io.OutputStreamWriter;
import java.io.PrintWriter;
import java.net.Socket;

/**
 *
 * @author washida
 */
public class JPClient {

    /**
     * @param args the command line arguments
     */
    public static void main(String[] args) {
        try {
            String server = "localhost";
            int port = 30000;
            Socket soc = new Socket(server, port);

            OutputStream os = soc.getOutputStream();
            PrintWriter pw = new PrintWriter(new BufferedWriter(new OutputStreamWriter(os, "UTF-8")));
            InputStream is = soc.getInputStream();
            BufferedReader br = new BufferedReader(new InputStreamReader(is));
            String question = "アトムとはなんですか";
            System.out.println("質問: "+question);
            pw.print(question+"\r\n");
            pw.flush();
            String line;
            while((line = br.readLine()) != null){
                System.out.println("回答: "+line);
            }
            pw.close();
            os.close();
            br.close();
            is.close();
        } catch (IOException e) {
            System.out.println("Exception: " + e);
        }
    }
    
}

実行結果を示す。まず、javaクライアント側のコンソールは次のようになる。

質問: アトムとはなんですか
回答: アトムはロボットです

回答は、prologサーバーから送り返されてきたものである。

telepathy_server側のコンソールは次のようになる。

?- ['telepathy_server.swi'].
true.

?- server(30000).
Receive = > アトムとはなんですか 
Send = > アトムはロボットです

ということである。

知識にもとづき質問に答える: prolog二分木

みずからが持っている知識にもとづき、問いに答えるシステムのプリミティブなものを作った。持っている知識は次のような「アトムはロボットです」という知識だけであるとする。現実には、日本語wikipediaの膨大な知識を持っているのだが、それを利用するのはもう少し後にする。

知識は、knowledgeというfanctorで表現されているとする。%で始まる行は、prologのコメント文である。

%% 知識 = アトムはロボットです
%% phrases: [ r0 1 ] 
knowledge(testline_0_0,
    node(は,
        [アトム, 'S:普/C:自然物/D:科学・技術'],
        node(です,
            [ロボット, 'S:普/C:人工物-その他/D:科学・技術'],
            [ ]
        )
    )
).

ここで、「アトムとはなんですか」という問いがあったとする。それに回答するprologプログラムは次のようなものである。

% 
% 質問に答えるプログラム
% 

:- ['../lib/client.swi'].
:- ['../lib/wsprint.swi'].
:- create_client(localhost,25000).

reply(Sentence,Out) :- 
        chat_to_server('GETTREE',Sentence,Recv),
        %% write(Recv),nl,
        %% utf8string.swiから出てくる文字列は、string!! 
        %% このままでは、unificationに失敗するので、termに変換する
        term_string(Recv1,Recv),
        dialog(_,Tree) = Recv1,
        %% write(Tree),nl,
        isquestion(Tree),
        getsubject(Tree,Sub),
        getreply(Sub,Out),
        wsprint(Out).

%% ----- 疑問文 回答取得 -----
getreply(Subject,Out) :- knowledge(_,Tree),chkreply(Tree,Subject),Out=Tree.
%% 主語のフレーズが一致していたらそれを回答とみなす
chkreply(node(N,L,_),Subject) :- member(N,[は, とは, って]),L=Subject,!.
chkreply(node(_,L,_),Subject) :- chkreply(L,Subject),!.
chkreply(node(_,_,R),Subject) :- chkreply(R,Subject).

%% ----- 疑問文 主語取得 -----
getsubject(node(N,L,_),Out) :- member(N,[は, とは, って]),L=Out,!.
getsubject(node(_,L,_),Out) :- getsubject(L,Out),!.
getsubject(node(_,_,R),Out) :- getsubject(R,Out).

%% ----- 疑問文 チェック -----
%% ノード値がリストのいずれかの語で、右の葉が空リスト [ ] の場合、疑問文 
isquestion(node(N,_,[])) :- member(N,[ですか,なの,か,なのか]),!.
isquestion(node(_,L,_)) :- isquestion(L),!.
isquestion(node(_,_,R)) :- isquestion(R).

%% 知識 = アトムはロボットです
%% phrases: [ r0 1 ] 
knowledge(testline_0_0,
    node(は,
        [アトム, 'S:普/C:自然物/D:科学・技術'],
        node(です,
            [ロボット, 'S:普/C:人工物-その他/D:科学・技術'],
            [ ]
        )
    )
).

プログラムの最後に、先ほどの知識が加えられている。もしこの知識が多く、あるいは、複雑になれば、それらを調べることになる。

reply()が、topレベルのclauseである。質問文(Sentence)は、平文であり、それらはサーバーに問い合わせして二分木にして返してもらっている(chat_to_server('GETTREE',Sentence,Recv),)。サーバーから返ってきた二分木は、swi-prologのstringであり、このまま dialog(_,Tree) = Recv, などとunificationすると失敗する。この理由がわからなくて、半日くらい無駄にした。term_string(Recv1,Recv),で、stringを文字列に変換している。返ってきたものから、二分木だけを取り出し(dialog(_,Tree) = Recv1,)、質問文であるかどうかをチェックし(isquestion(Tree),)、質問文であるならば、質問の主語にあたるものを取り出し、知識に問い合わせして、回答に当たる知識を得る(getreply(Sub,Out),)、という段取りである。

実行結果は次のようになる。

?- ['reply.swi'].
true.

?- reply(アトムとはなんですか,Out).

アトムはロボットです/

Out = node(は, [アトム, 'S:普/C:自然物/D:科学・技術'], node(です, [ロボット, 'S:普/C:人工物-その他/D:科学・技術'], [])) .

文章を与えて、サーバーからprolog二分木を取ってくるクライアント

質問文二分木の作成をやってきたが、ここで、質問を受け取って、自分の知識に基づいて解答を作成するシステムを作る。

質問は、平文で受け取るので、そこから知識の二分木に結びつけなければならないのだが、一旦、質問文を二分木に変換するのがいいと思った。prologで作成しようと思ったが、いろいろ面倒なので、これまでのjavaの作成システムにサーバー機能も持たせて、そこにアクセスして単文を二分木にしようと思う。

prologのクライアントを作成した。

%
% 文章を与えて、サーバーからprolog二分木を取ってくるクライアント
%

% 文字列とutf8のバイトコードを相互に変換する
% http://www.ibot.co.jp/wpibot/?p=2681 など参照
:- ['utf8string.swi'].

% swi-prologモジュールの組み込み
:- use_module(library(streampool)).

% クライアントをスタートさせて、ストリームを取得、グローバル変数に保存する
create_client(Host, Port) :-
        setup_call_catcher_cleanup(tcp_socket(Socket),
            tcp_connect(Socket, Host:Port),
            exception(_),
            tcp_close_socket(Socket)),
        setup_call_cleanup(tcp_open_socket(Socket, In, Out),
            nb_setval(socketIn,In),
            nb_setval(socketOut,Out)).

% 単文を送信して、二分木を受け取る
chat_to_server(Term) :-
        % 送信文字列をコードに変換する
        utf8tring(Bytes,Term),
        nb_getval(socketIn,In),
        nb_getval(socketOut,Out),
        % コマンドをつけて、サーバーに送信
        format(Out, 'GETTREE:~s~n', [Bytes]),
        flush_output(Out),
        %read(In, ReplyCode), % これではうまくいかない
        % サーバーからコードを受信する
        read_line_to_codes(In, ReplyCode),
        %write(ReplyCode),
        % コードを文字列に変換
        utf8tring(ReplyCode,Reply),
        % 表示する
        format('Reply: ~s~n', [Reply]).

% ストリームを閉じる
close_connection :-
        nb_getval(socketIn,In),
        nb_getval(socketOut,Out),
        close(In, [force(true)]),
        close(Out, [force(true)]).

prologは、utf8のバイトコードで送受信するので、その変換が必要だった。すでに作成したシステムがあったので、簡単に済ますことができた。

実行結果は次のよう。

?- ['../client.swi'].
true.

?- create_client(localhost,25000).
true.

?- chat_to_server(アトムはロボットですか).
Reply: dialog(190520092729_0_0,node(ですか,node(は,[アトム, 'S:普/C:自然物/D:科学・技術'],[ロボット, 'S:普/C:人工物-その他/D:科学・技術']),[ ])).
true.