「知っている」とはどういう現象なのだろう(1)

あることに対する「知識を有する」とか「知っている」ということは、いったいどのような現象なのだろうかと考えた。

人工知能に関するチューリングの基準のようなことを考えよう。

例えば、壁の向こうに人かコンピュータがあって、こちら側にいる人間は、その相手に対して質問することができる。質問することはある概念だ。例えば「卵(たまご)」という概念を壁の向こうのコンピュータが知っているかどうかを尋ねて、それが人が答えているかコンピュータが答えているか区別できなかったら、そのような対応ができるコンピュータは、卵という概念を知っているのだ。答え方のルールも必要かもしれないが、その辺は、曖昧にしておく。

人間「卵って知っていますか?」
相手「ええ、知っています」
人間「何をするものですか?」
相手「孵化すれば、親と同じ生物が生まれるものです」
人間「食べられますか?」
相手「ええ、食べることもできます」
人間「どうやって食べますか?」
相手「焼いて食べます」
・・・・・・・

こうやってずっと正しく答えれば、このコンピュータは卵について知っているのだ。このような卵に対する知識を人工的に作りたいと思ったら、どうするのか。

例えば、Wikipediaに書いてある文章を全部調べて、「卵」がどのような文章の中で使われているかを調べれば良い。